30歳になったし標高0mから富士山に登った話

こんにちは、アボッチです。

突然ですが、皆さんはルート3776、もしくは"ゼロ富士"をご存じでしょうか。

 

名前から想像がつくと思いますが、

海(標高0m)から日本一高い山 富士山の頂上3776mまで登る

ちょっと頭のネジが外れてる挑戦企画です。

 

概念自体は古くからあると思いますが、

今は富士市の観光課がおしゃれな公式サイトを開いて紹介しています。

route3776.jp

 

3日間かけて富士山を登ってきたので、今回はその話です。

 

きっかけ

私事ですが、今年2023年で30歳になりました。(めでたい!)

 

30歳になった年に、なんか人生に残ることしたいなあと思ってまして、

富士山登ってみることにしました。

結婚とかはできなかったので。

 

でも、ただ登るんじゃ面白くない。

人は多いし、ずっと単調な登りだし。

ただ山に登るならアルプスに行く方が面白いわけです。

じゃあせっかくなら昔大学の知り合いがやってた、海から登るやつやってみるかと。

それを1年前くらいから頭の片隅で考えて、

4月におおよそのルート確認と山小屋の予約を済ませました。

 

ルート紹介

https://route3776.jp/img/index/about-img-01.jpg

全長約42km、ただ歩くだけでも長い道のりを標高3776mまでず~っと登ります。

その道中、チェックポイントで5個のスタンプを集めることで達成となり、

申請すると達成証とバッジがもらえます。

 

公式サイトの推奨は3泊4日。

スタンプさえ集めればいいので、連続した日程で登る必要もありません。

世の中には1日で登りきる人もいます。

 

これを3日に分けて登りました。

起点は、2か所あるうち西側の田子の浦みなと公園。

1日目でPICA表富士、2日目で8合目、最終日で登頂して5合目から帰宅です。

たぶんこれが一般的な成人男性向けルート設定だと思います。知らんけど。

 

結果的には完登して大きな達成感を得られましたが、

二度とやらないし人にはオススメしません。自己責任でやってください。

 

 

0日目

金曜の夜、家に帰って準備をして新幹線で新富士駅まで。

こだまに初めて乗りました。

新横浜から1時間弱で到着。

新富士駅。

新富士駅前の東横インに宿泊。

見慣れた部屋に実家並みの安心感。

 

翌日は8時スタートです。

 

 

1日目

出張で貯まったポイントで無料宿泊でした。

ありがとう東横イン

新富士駅のタクシープールでタクシーに乗ります。

まだスタートしてないからセーフ。

そもそも、ルート3776はスタンプラリーだから、

仮に車乗ったり自転車使ったりしてもばれません。

ちゃんと歩きましたけど。

田子の浦みなと公園までってことは、お客さんルート3776ですか?」

「はい、そうなんです。」

「頑張ってくださいね。」

「ありがとうございます。がんばります。」

 

スタート地点です。

公園のど真ん中にあるので、行けばわかります。

これを読んでやる人どうせいないから、別にいいか。

6月頃に近く通った時に下見もしました。

せっかくなので標高0mを目指します。

スタート地点から海に向かうとテトラポットに阻まれます。

自己責任で乗り越えてください。

そうすると海に出会えます。

足を突っ込んでスタート。

標高0mは確認が難しいので、これでよしとします。ヨシ!

このあと、波が来て靴下まで濡れました。

テトラポットを乗り越えて戻り、8時14分スタートです。

 

スタート地点のボックスでスタンプを忘れずにゲット。

アプリでもスタンプラリーできるので、同時にやってます。

 

序盤は登山というより散歩。

めちゃくちゃ暑い。8月だもんね。

気温30度の中、富士山の防寒着や食料が入ったザックを背負って歩きます。

なんて無駄なことをやっているのか。

道中はこんな感じで、ルートを示してくれてます。

道中コンビニで涼みつつ水分補給。

登山中にコンビニがあるなんて便利だな。

最初の2時間で1.5L飲んで、ザックには汗で塩ができてました。

ここで落ち着いてみて気づいた。これ結構つらい。

 

炎天下、直射日光、日陰もないアスファルトをただひたすら歩きます。

 

さわやかもある。

 

東京靴流通センターもある。

 

ジャンボエンチョーモスバーガーと31もある。

天気の良さを恨みます。

僕の他にもルート3776挑戦者がいました。

ザックについてるゼッケンが挑戦者の証です。

 

歩いていると次第に景色は田舎に。静岡なので茶畑もあります。
もう一人の挑戦者とも遭遇。

11㎞地点、スタート後約3時間で今回のルートで最後のコンビニです。

暑さと疲れで食欲もありませんが、食べないと動けなくなるので、気合で食べます。

 

そしてまた、無言の1時間徒歩。

バス停の名前が八王子町

八王子といえば田舎。

 

見るたび2,3分しか進んでない時計を見続け、ただひたすら歩きます。

写真を撮るようなところもありません。

2つ目のスタンプ地点に到着。

12km地点 11時23分(スタートから約3時間)

よもぎ湯です。

ここでお風呂に入っても仕方ないので入りません。

 

この辺でもうかなり帰りたくなってきてた。

まだ3時間しか歩いてないのに。

 

15km地点

店もなくなり、塩分不足で足も攣り、しんどくなってきたところに現れた久しぶりの自販機。

オアシスにたどり着いた気持ち。

普段はダイドー選びませんが、あるだけでありがたい。

人生で一番好きなダイドーの自販機になりました。

国道469号を超え、これ以降林道に入っていきます。

ちょっと涼しい。

別に写真の見た目ほどは涼しくない。

 

そしてひたすらに

代わり映えしない道が始まります。

 

見える道の先まで

 

雷雨でずぶ濡れになっても

 

水たまりがあっても

 

歩きます。

 

何もおもしろくない。

 

2チェックポイントのよもぎ湯からは歩き続けること5時間

28km地点、16時30分(スタートから8時間ちょっと)

ようやく1日目の宿泊地点に到着です。

 

お疲れ様でした。

3つ目のスタンプをゲット。

結局1日目が一番しんどかった。

登山靴で舗装路を28㎞も歩くと、摩擦で足裏にでっけえ水ぶくれができました。

熱いし痛い。

ルート3776挑戦者向けの相部屋ロッジ

6畳に4人、道中ちょっと一緒に歩いた女の子と、2人で来てた男の子たち、僕。

ほどほどの距離感。

当たり障りのない会話をして、各自シャワーと夕飯、明日の準備をします。

 

初日に大雨に打たれ、足は水ぶくれで、何より道のりが面白くない。

2日目は天気悪かったら山小屋キャンセルして帰ろうと決めて20時頃就寝。

 

 

 

 

2日目

天気いい。登山日和。終わり。

嫌なことに天気予報もよさそうで、

足にテーピングまきまきして、6時半に出発しました。

 

ちょっと元気の出る景色。

32㎞地点、7時30分(2日目スタートから1時間)でようやく舗装路が終了。

村山古道に入って、ここから6合目まで登ります。

 

アスファルトを歩くのより500倍楽しい。

 

こういう景色が山登りよな

 

ちょっとお花畑もありつつ

 

雲に包まれたりもして、気づけば6合目直下にシカ。

 

36km地点、11時20分(2日目スタートから4時間50分)

ようやく一般的な富士登山道に合流しました。
フレッシュな登山客の皆さまと対面です。もっと苦しめ。

普通に富士山登る人はここから山登りが始まります。

本当はここでお昼ご飯の予定でしたが、

休憩してると雷と雨がやってきたので、晴れてる宝永山の方に逃げます。

いわゆるプリンスルートです。(富士宮口から御殿場ルート)

すんごい晴れた。

天気がいいとテンションが上がるし、テンションが上がるとコースタイムが縮む。

登山道の難易度なんてないようなもんだから、体力より気分が大事。

砂山みたいな宝永山を登り切る。

砂浜トレーニングかってくらい、登る力が逃げていく。

 

38km地点、12時55分(2日目スタートから6時間25分)

宝永山頂。

富士山頂はまだまだ先だけど、山頂ってちょっと達成感。

 

稜線が綺麗。

 

山頂まで見通せる。

ここで3776やめなくてよかったって思った。

39㎞地点、13時30分(2日目スタートから7時間)

御殿場ルートに合流。ここからは残り1時間半。

 

標高3000mサイン。

高い山には大して登ってないので、仙丈ケ岳の3033m以降は未知の高さ。

 

14時ちょうど、7合目。休業中の日の出館。

 

14時30分、ちょっと登って七合五勺の砂走館。

 

宿泊地の山小屋も見えてくる。

 

雲の上。

もう標高は北岳より高く、日本では富士山だけの世界。

 

40㎞地点、14時50分(2日目スタートから8時間20分)

七合九勺の赤岩八合館に到着。2日目のゴール。

景色良すぎる。ここまで来たらもうほぼ終わったようなもん。

タバコ吸ってしばし景色を堪能したら、

砂ぼこりを落とし、小屋の説明を受けて、自分の場所に荷物を突っ込みます。

 

扉のない押し入れみたいな空間に、各区画3人ずつ寝ていきます。

 

覚悟はしてたけど狭い。富士山の山小屋はどこもこんなもんっぽい。

両隣はソロで来てたおじさんとおばさんでした。

 

二重虹も出ていい感じ。

山はいい景色が無料で見られるの、ほんとお得。

17時から始まる夕飯のカレーを食べて、夕方から両隣と3人でいろんな話をして21時に消灯。

 

狭いのと、布団が暑いのと、いびきや呼吸のうるさい人たちとで、

寝たような寝てないような。

そしてそのまま朝を迎えます。

 

 

 

3日目

ご来光を山頂で見るつもりもなく4時半起き。

早い人は2時に出ていきます。

起きたっていうかずっと半分寝てて半分起きてるみたいな状態だったので、

布団から脱出した時間。

まだ暗くて、御殿場の街明かりが綺麗。

外でカメラを構えて寒さを感じつつ30分撮り続けます。

気温は多分10度ないくらい。

次第に明るく、雲も増えていく。

 


5時2分。

富士山8合目から見るご来光でした。

 

朝日が眩しい山小屋の朝ごはん。

山小屋泊は水も食べ物もあって、ザックが軽くなるので楽でいい。

 

昨晩仲良くなった2人と少し話して、記念撮影をして、

5時50分、頂上へ向かいます。

この上ない天気。

眼下に広がる空と雲海。

 

42㎞地点、7時10分(3日目スタートから1時間20分)

富士山頂に到着しました。

 

でもここじゃすっきりしない。

 

本当のゴールはあっち。

標高3776mの剣ヶ峰までお鉢巡りをしてから向かいます。

 

天気も良ければ景色もいい。

持ってきた防寒着も出番がなく、半袖で紫外線を浴びまくる。

荒々しい山肌。

 

御殿場口の方は人が多い。

 

徐々に大きく見える剣ヶ峰。

 

一周して近づきます。

43.7km地点、7時57分(3日目スタートから2時間7分)

直下の写真撮影列に並びます。

長かった道のりも残すところ、あと少し。

ここまで登ってきた人たちが写真撮影するのを、

一人ひとり待って、遂に自分の順番が来る。

 

8時17分(3日目スタートから2時間27分)

初日のスタートからほぼ48時間後。

日本最高峰 富士山剣ヶ峰 ルート3776登頂成功しました。

天気も良く感動もひとしお。

一緒に登ってきたonちゃん、ルート3776の挑戦者ゼッケン。

写真撮影の邪魔にならないところで、しばしこの景色を眺めます。

天気に恵まれて良かった、晴れ男パワー。

 

 

富士宮口の頂上富士館にて、アプリの方の最後のスタンプをゲット。

9時。

気が済んだところで、下山開始。

ルート3776はこれで達成しましたが、無事家に帰るまでが登山です。

 

下がれば下がるほど、気温が上がる。

下山者と登山者が入り乱れる富士宮ルートを下ります。

 

7合目で軽く休憩を1回入れたら、そのまま5合目まで。

下りはあっという間に。

 

48.7㎞地点、11時32分(3日目スタートから5時間42分)

これで本当に富士登山、終了。

 

13時の新富士駅行きのバスをひたすら待ちます。

登山バス出発。

 

渋滞もあり15時ちょうど、新富士駅に到着。

バスから出た瞬間暑すぎて死ぬかと思った。

15時10分発の新幹線で横浜に帰る。

 

水が1本500円とかしないし、

いろんな食べ物が売ってて、冷房も効いてる。文明最高。

家に帰ったらすぐにシャワー浴びて、冷房全開の布団に吸い込まれました。

完。

 

今回のルート3776リザルトです。

休憩込みの活動時間 22時間28分

距離 48.7km

獲得標高 4132m

 

 

そのうち達成証と、今年は10周年を記念したバッジが送られてくるはず。

https://route3776.jp/wp/wp-content/uploads/2023/06/DSC_0271_s-2-1536x1025.jpg

左が例年の、右が今年のやつ。楽しみ。

 

 

登る前は弾丸登山とか、登山客のマナーとか、ご来光渋滞とか、

嫌な話ばかり聞いてた富士山だったけれど、日曜~月曜は気になるほどじゃなく、

いざ登ると天気にも、山小屋の隣の人にも恵まれて、いい山行となりました。

 

 

山小屋で仲良くなって話してた隣のおばさんが、

フォロワーの母親だったと判明したのは家に帰ってからの話。

 

 

これで30歳、いい一年になるといいな。

お疲れさまでした。